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作品作りが10段階なら

作品づくりについて。何かを作る工程を10段階にわけるとします。スタートは1ね。1から作る。いなり余談だけど、0から作るって言わずに1から作るって言いたい。

アリストテレスって人の言葉で「芸術は自然を模倣する」というのがありまして、美しさというのは自然の中にあるので、芸術はそれを真似するだけだ、みたいなそんな言葉だと思う。花が美しいから花を描いて、動物が美しいから動物の彫刻を作る。それ以外にも、小説や映画のストーリーだって、その作品の前に作者の日常生活が存在するからそこからストーリーが作られて、受け手の日常生活が存在するからストーリーから感動を得れるわけでしょ?作品の前に日常がある、つまり作品の前に自然がある。そしてその自然はビックバンで出来たとしたら0から1を作ったのはビックバンで、芸術家はその1から2とか3を作っていくんだと思う。言葉だけの話ですが。これは余談。

本題。
1から作り始めて完成が10だとするでしょ。アイデア出すのが1~2とか、作り始めて3~6、作り続けて7~8、仕上げが9~10だとするでしょ。個人で作る人というのはこの1から10を全部やらないと作品は完成しないんですよ。で、初心者はこれらのどれか得意な部分ばっかりをしがちだという話ですよ。

イラストレーターになりたいのに女の子の顔だけ描いててもだめですよ。しかも左向きの顔ばっかり描いててもだめですよ。全身を描いて、背景まで書いて、清書して、彩色までしないと10にはたどり着けないですよ。小説ならキャラクターと設定を考えるだけじゃなくてエンディングまで書ききらないと、完成じゃないですよ。逆に同人誌とかで既存のキャラクターでお話を作っている人は最初の1をさぼっているって言い方ができると思う。

そして1~4とかばかりしてても7~10の力は付かないんですよ。作り始めの前半と膨らましていく中盤と、まとめたり仕上げたりする後半はやっていることが違うし、使ってる脳みそやセンスも違う。それぞれを経験しないと、それぞれが上手くならない。そしてどの段階もできないと作品は完成にいたらない。作りかけの作品がたくさんある学生よ。1から7までばかりを練習してもだめだぞ。8から10の練習もしないとだめだぞ。

がんばろう。

と、ここまでは学生とか個人作家の話なんですが、仕事ならこの1から10までの得意不得意を人と協力することで埋め合わせることができます。仕事ですと基本的に発案する人と、具体化して実現する人と、仕上げて体裁を整える人は違います。それらすべてを指揮する人もいるけど。

というわけで、言いたい事は仕事の種類はいろいろあるけれど、自分が何に向いているかというのはジャンルとかだけでなく、作品作りのどの段階に携われるかで考えるのもいいと思ったのです。1や2が好きな人はそこをするし、逆に1や2が苦手な人は後半を担当すればいい。

僕は1に近い部分がやりたい人です。中盤や後半は他の人に任せたりしても嫌じゃない。全部一人でやりたい人もいると思いますが。ただ、自分がどの段階がしたいのかというのはいくつも仕事をしていかないと分からないところですけどね。

口ばっかりで作品を作らない友人に悩まされている人へ

こんにちは。

ネットでたまに見かける「絵が上手くなる人と上手くならない人の違いの話」(話しというかそういうのをイラストにしたやつとか)。上手くなる人はひたすら絵を描いてて、上手くならない人は「どうしたら上手くなるの?」って友達に聞いてるだけで実際には手を動かさずに聞くだけっていう。

こういう作ってない友人に悩まされる人というエピソードをたまに見ます(悩まされる本人は頑張って作品を作っている人)。

あとは、東村アキコさんの『かくかくしかじか』にも漫画家になった東村アキコさんに「俺も漫画家になれるかなあ?」って聞いてくるけどまだ漫画を描いたことがない人が出てきたよね。そしてその質問をされた東村アキコさんは心の中で(知らねえよ!)って叫ぶっていう。ごめん、うろ憶え、台詞は違うと思う。

イラストや漫画に限らず、そういう「まだ作品を作ってない友人」に話しかけられて悩まされている人たち、美大生とか専門学校生とか、その他の創作をしている人、そんな人へアドバイスが2つあります。

まず1つめ

「どうしたら上手くなるか?」という漠然とした質問へは「1つ作品を完成させて持ってきて。それ見てアドバイスするから。」と言いましょう。正直に言ってアドバイスする方法はこれしかない。出来上がった作品に対してだったら「ここはこうしたらよい」と技術的なことも的確にアドバイス出来ます。わかっていると思うけど。

そもそも作ってない人にはアドバイスが出来ないと思う。方法論のアドバイスというのは、効果があるのかは人によって違うし、効果があるかはそれをやってみないとわからない。そして最終的に伝わる大事なことは抽象的な話だったり精神論だったりするんです。そういう抽象的な話をしたとしても、作ってない人にはその言葉の意味が分からない。分からないんです、残念ながら。

だから最後にこう言いましょう。「作品が完成するまで話しかけるな」と。キビシイ(笑)

そして2つめ。

作品を作ってない友人とのやりとりが煩わしいだろうと思いますが、貴方が作品を作り続けていくと作品を作ってない友人との交友関係はやがてなくなります。おそらく向こうから連絡がこなくなります。そして貴方の周りには作品を作り続けた人だけが残ります。新しく出会う人には口だけの人はいなくなります。作品を作らない人との交流は学校を卒業するまでか、あるいは数年でなくなります。

なぜなら、作品を作ってない人は作品を作る人がまぶしすぎるので。聖なる光で照らされたアンデッド系モンスターと同じです。やがて溶けてなくなります。

若いころの人間関係はごちゃまぜでスタートしますが、類は友を呼ぶので、貴方が作品を作り続けていけば貴方の周りには貴方に似た人が集まるはず。

どうかクラスメイトの事は気にせずにただただ自分の作品を作ってください。

就職したら人間関係がどうなるかは知りません(笑)そして仕事はまた別。

あ、作品作りではなくそれ以外のことで真面目に頑張って生きている人とかはもちろん友達になります。ジャンルを超えて。真面目に生きていれば真面目な人が友人になるし、楽しんで生きれば楽しんで生きている人が友人になるし、その逆もあるし。どの友人だっていいんですが「自分が作品作りをしているのに、作品を作っていない人との関係がわずらわしい」人に向けての文章でした。

練習だけしてても、そりゃダメなんですわー。

作品が100個あるって書いたけど、全部が3分とか4分とかってボリュームではないです。短い作品もありますよ。2〜3年前はVineで公開する仕事が多かったので、Vineって6秒の動画だから6秒の映像も20個近く作ってます。そういうのもあわせて100個ね。

短いものが長いものよりランクが下だとは思いません。
撮影するコマ数は少ないですけど。
短いものには短い世界での成立のさせ方があったりするわけですよ。

短いものばかりを作ってても長いものは作れるようにはならないですけど。

そうそう、ピクサーの本にも書いてありましたよ。

『ピクサー流 創造するちから』という本です。
分厚いですがおすすめ。超おすすめ。

Amazon『ピクサー流 創造するちから』

ピクサーの社長であり、いまのディズニーアニメーションスタジオの社長であるエド・キャットムルさんが書いた本なんですが、アート的な作業をちゃんとビジネスにするにはとか集団で作っていくにはどうしたらよいかという事がこれでもかと書いてあります。
ハウツー本みたいに方法論だけを書いたものではなく、キャットムル氏がこれまでの経営の中でいかに悩んで試行錯誤してきたかという奮闘記なので、読んでて面白いです。会議の席順が大事だと気づいてから「この机をいますぐ捨ててくれ!」って叫ぶくだりとか、イイです。ピクサー作品の脚本がなぜあんなにも優秀な点数を出し続けているのかも作り方について書かれています。

その中にあった話。ピクサーは毎回、本編の前に短編を発表していて、そこであたらしい技術を試したり若手を起用したりしてるんですが、それをやってて結果として分かったのは「(監督や脚本家には)短編を何本も作っても、長編を作る力にはならない」ということでした。

これは短編がダメということではなく、短編と長編はまったくの別物ということ。
ストーリー展開・カットの間やテンポ・ストーリー説明の量・台詞回しなどなど、すべてが短編と長編では適したバランスが違う。

つまり、長編を撮りたい人は、長編を撮りにいくしかないんです!
短編で練習をしてもいいけど、練習はあくまで練習なんです。

漫画を描きたい人は、1枚イラストの練習ばかりしていてもダメなんです。

バッティングの練習だけしてても、それは試合ではないんだよ。

本番を迎えな!

練習ばっかしてないで!

あー、だれに何を言っているのわからないけど。
そういうことよ。

あ、それと、本番を迎えるというのが一番成長します。
練習効率がハンパなくいいです。

これはピアノの練習をしていた兄貴が言っていたんですけど、

発表会に出るって決まったら、練習の質が変わった。
あと、発表会でしたときの失敗とかがすごく意識されてて
普段の練習とは全然ちがう。
成長の度合いが違う。

この場合の本番というのは「人に聞かせる」というのが大きいかな。

人に見せないと、成長しないよ。
友達にでもいいし、YouTubeでもいいし、路上でもいいけど、
何かつくっているなら人にみせないとダメですよ。

これは本当にダメですよ。
人はひとりでは成長しないからね。残念なことに。
ひとりで成長できたらいいんだけどね、どうにもできないんだよ。

無様な自分をさらすことになるけどね、
人に見せて、リアクションをもらいなさい。
良いリアクションも悪いリアクションも、全部自分の血と肉になるので。
食べ物はよそからとってくるでしょ。
自分の肉を食べていてもそれは栄養摂取ではないのよ。

あーなんで、こんな厳しいこと書いてんだろ。
もういいや、書くことストップ。

通販でカラーボックス買ったんですよ。2個。
でも組み立ててみたらサイズを間違えてたんですよ。思っていたのより20cmも高かったんです。組み立ててる時は横に倒してたから全然気づかなくてですね。ネジをぜんぶ閉めて、ヨイショって立ててみたら「ん???高い???」ってなって。
これだと置きたいところに入らないんですよ。
ちょっと今落ち込んでるんです。

じゃあね。