前回の『関係性萌えについて考える』の続きみたいな内容ですが、前々から「主人公を2人出すっていいよなー」って思っていました。
『となりのトトロ』
最初に思ったのは『となりのトトロ』
サツキっていうお姉ちゃんとメイっていう妹が主人公ですが、視聴者で姉妹の人がいたら絶対どちらかに共感をする。お姉ちゃんだった人はサツキを見て「うんうん、お姉ちゃんって大変だよね」って共感して、妹だった人はメイに「気持ちわかるー」って共感しやすい。もとの企画だと主人公の女の子は1ひとりで、キャラデザもサツキとメイをくっつけたようなものが考えられてたらしい。詳しい理由はしらないけど、それがあとで2人の主人公になったそう。
『NANA -ナナ-』
もう1つ、このパターンかなって思ったのが少女漫画の『NANA -ナナ-』。主人公がナナって名前の女性2人なんだけど性格がぜんぜん違ってて、1人はバンドのボーカルやってて超かっこいいナナ。もうひとりは恋愛がんばってる普通の女の子って感じのナナ。
読者は、片方に憧れを持って片方に共感するって形になると思う。主人公を最初から2人にすることで感情移入のさせ方の2パターンを同時に成立させている。
『SPY×FAMILY』
それで最近すごいと思ったのが漫画のスパイファミリー3人分の共感がある。共感というか好きになるキャラクターが3種類用意されてる。
女性読者なら何でもできる完璧超人でかっこよくて、たまに子供に優しいロイドを好きになる。男性読者だったら美人で超強いけど家事ができない天然でドジっ子なヨルを好きになる。
そして小学生はアーニャを好きになる。アーニャは小学生の等身大キャラでギャグキャラとして面白いけど、他人の心が読めるエスパーで、しかもその秘密は自分しか知らないっていうアドバンテージの設定がうけると思う。この点は名探偵コナンと似てる。たまにアーニャが大人を出し抜くシーンがとても面白いはず。共感しつつ憧れるというか。
(おまけで言うと、アーニャのエスパー能力はアドバンテージがあるけど、子供で頭が悪いっていうマイナスがあってバランスがとられていると思う。)
ちなみに僕は男性で育児をしているので、ロイドの育児奮闘ぶりに共感してました。最初のころのシーンでロイドが子育ての本を読みながら「世の親たちはこんな高難易度ミッションをこなしているのか」って驚くセリフがあって、そこがすごい好き。
そしてヨルは母親役なんだけど、家事全般が苦手な代わりに腕力がすごくて子供を絶対守るスーパーママって感じで憧れがあります。誘拐犯を追い返すシーンね。
前回の箱推しの話は同性がワチャワチャしてるのが微笑ましいというパターンで、今回のはいろいろな特性のキャラを同列に主人公とすることで読者の共感のマトを増やすってパターンだと思う。