ルックバック見てきました。
原作も好きだったんですが、映画も最高でした。人生で一番好きな映画これにします!
57分と短いですが、このコンパクトさも好き。評価も高いみたいですね。僕は普段からレビューサイトとか見ないようにしてるのですが、評価高いって話だけ聞きます。
ここから、僕が好きだったところをひたすら書きます。
ストーリーをかるく説明しながら書きます。ネタバレになるけど、若干ぼかして書こうかな。でもこの映画は全部分かった上でも面白いと思う。
先生の顔
冒頭の先生の顔がまさに藤本タツキ先生が描くおっさん!って感じがして最高でした(笑)原作そのままの絵でやってくれることがすごい嬉しい。
4コマ
主人公の藤野が学年新聞に4コマを連載しているところからストーリーが始まるわけですが、原作だと4コマしかないところを長いアニメーションにしてストーリーを補完しつつ、絵のタッチも小学生のままにアニメーションしるのがすごいのと、効果音が安っぽい感じというかぜんぜんリアルじゃない音にしてて、そこでも小学生っぽさを出しているのがいい!
藤野のしゃべる感じが
別に本気出してないけど〜、っていう余裕ぶった喋り方が最高!このあとも藤野はこの上から目線てきな喋り方をしていくわけですが、小学生ってそういうところあるよね。声優もよいです。
広い教室
登校拒否になってる生徒の京本が4コマを書くようになって、その絵のうまさ(デッサンとか陰影ができてる感じ)に藤野が衝撃をうけて、それで隣にいたクラスメイトにも「藤野の絵って普通だよな」っていわれてしまったあとに、ぐわーっと教室が広くなる演出が面白かったんだけど、クラスの人数もありえないくらい増えてるってことだったけど、演出意図がギリギリでわからなかった。めまいな感じかな。クラスメイトからすごい距離を感じてる風かな。
同ポジ絵の練習
それで藤野が絵の勉強を始めた時から、同ポジでいろんな場所で絵の描いてるカットが連続でくる。いろんな場所で練習をしてるっていう描写。ちなみに原作でもおなじ演出があるけど、教室のシーンだけは上から見下ろすアングルになってて、教科書を机の前に立てて隠れて絵を描いてるってのがわかるようになっている。他のカットは藤野の後ろ姿だけで、自室やリビングとかえ絵を描いているのがわかるんだけど、教室で後ろからのアングルだと勉強をしているのか絵を描いてるのかわからなくなるから、藤本先生は同ポジっていう演出をここは捨てて藤野が隠れて絵を描いているってのをわかりやすくしてた。
追記:原作を読み返したら、アングルを変えてるカットは絵の練習じゃなくて漫画原稿を描いてるところでした。
本棚の本
原作でもあったけど、このときから藤野の本棚の中身がどんどん変わってく。それまでは少女漫画とかいわゆる漫画雑誌が何冊もあったんだけど、絵の練習を始めた時にそればばっさりなくなってて、空っぽになった本棚にデッサンとかの本が、ちょっとずつ増えていく。
こういう背景をつかって、説明していくのはとてもよいですよね。前回のダウンロード速度にもつながる演出だと思う。
1番好きなシーンは京本が家から飛び出てくるところ
話はとぶけど、卒業式の日に、藤野が卒業証書を京本の家にとどける。ひきこもり選手権の4コマを思わず描いてしまって、あわてて家をでる藤野。このとき家から出たら、手をしっかりのばして背筋伸ばしてシャキシャキ歩いちゃってるのがすごい面白い。
それで、ひきこもりだった京本が藤野を追いかけて家から飛び出すシーン、ここで僕は泣いてます。この映画、ストーリー知ってるからってのもあるけどなんでもないシーンでも泣いちゃう。人が決意するシーンとか人生が変わっちゃうシーンとかも泣けるし、絵を練習するっていう地獄の道に進み続けるってだけでも胸が熱くなります。
次に好きなシーン、変なスキップ
それで引きこもりの京本から「藤野先生のファンです!」って言われて、思わず新作を描いてるみたいなことを言っちゃう藤野。帰り道、だんだん雨が降ってくる時に、じょじょに藤野の足取りが軽くなってさいごスキップになるんだけど、手をすっごいふっててなんか下手なスキップみたいになってるのがすごい好き。原作でもすごい好きなシーンだったんだけど、原作では見開きで、雨がふる田舎の道のなかに藤野が変なポーズのスキップしてて、それが映画だとカメラワークぐるーっとまわりながら長いカットになってそこが良かったです。
漫画のコマ割りと映画のカットは似てるとこがあると思ってて、コマが大きいってことはそこに主人公の感情の変化を大きく伝えたいわけで(それ以外の目的もあるけど)、それか読者の感情を大きく動かしたいわけで、それを映画でやるなら、カットを長くして伝えるとかしたらいい。同じ内容でもワンカットを長くする、動きが短いのならスローモーションにして時間を伸ばすとか。それをすると視聴者はその感情の変化を長い時間体験することになるから、印象深いカットになる。と思う。
『マトリックス』の冒頭でトリニティがジャンプして警察官を蹴るシーンがあって、あれがはじめてのタイムスライス(バレットタイム)の演出で、トリニティがジャンプしたところで時が止まってカメラがぐるーっと回る。あれって漫画だったら大ゴマにしてトリニティがジャンプしてるコマになってると思う。
だから、ここの藤野のスキップは映画なら長いカットにしてほしいわけだけど、カメラがぐるーって動いてて、藤野の動きは全コマ描いてるわけで、このカットにアニメスタッフの熱量すごいかかってますよ!って感じがとても良かった。制作の労力と情熱を感じてしまう。
あと、京本が部屋から出て玄関まで走るところも、主観でカメラワークがグワーって進んでくワンカットになってて、アニメ製作陣の熱量が伝わるよね。京本の熱を作画枚数で伝えてる感じ。
でもさ、藤野がさ、雨の中帰ってきて濡れたまま部屋にはいって「メタルパレード」って新作のネームを描き始めるんだけど、その速さすごいよ。引きこもり選手権の4コマもその場で描いてたし、藤野天才だよ。フィクションですけどこのスピード感あこがれます。というか、この劇中にでてくる4コマ漫画ぜんぶ素で笑っちゃうくらい好き。
藤野キョウ
それで藤野と京本が一緒に漫画を描き始めて「藤野キョウ」ってペンネームになるんですが、ついさっき二人の名前をあわせたら藤本になるって気づきました。この二人が藤本先生とイコールだとは思わないけど、そういう小ネタもいいですね。
二人の応募作が準入選になるシーン、雪がつもってる夜道をふたりがコンビニまで歩いてってジャンプを確認してるわけだけど、あれはジャンプをすぐ見るために明け方というか夜中にコンビニいったのかな。
あのときに喜ぶ二人を店の外からのアングルで撮ってて、二人の声がないままで、原作でもそういう演出だったけど、なんというか大事なところでカメラが被写体からあえて離れてるって演出もいいですよね。原作がそうなんだけど、セリフで細かく説明しないで、ストーリーをさっさと進めてくところもいいなあ。
そのあと都会にでてクレープ食べたりって中学生なりの豪遊をするときに、手を繋ぐ二人のスローモーションのシーンもいいですね。確認したらこれは原作にはなかった。二人だけのキラキラした世界になってて京本もとても楽しそうでよかった。
そこから何作も掲載されててすごいよ。藤野も京本もすごいよ。フィクションだけど。
パラレルワールド
話とびますが、そこから色々あって、藤野が「なんで漫画描いてるんだろ」って落ち込んで、こうだったらいいのになっていうパラレルワールドの話が始まるわけですが、パラレルワールドの世界と現実世界がドアの向こうとこっちに別れてるっていう設定(描写?)がとてもよいと思ってます。パラレルワールドで起きたことが、ドアの隙間を通じで影響しあってるようで、あまり影響していない。ラストに隙間からでてくる4コマも、現実世界で京本が書いた4コマである可能性は高いわけで。
漫画だと、パラレルワールドとか、こうだったらいいのになっていう魔法みたいな都合の良い展開ってあるわけで、読者もそういうの望んでると思うけど、この漫画は結局そうしてなくて、藤野が自分で立ち直るのがよかった。
あの4コマは京本が美大に行ったけど4コマを描いてて、決して漫画の道と決別したわけじゃなかったっていう証明なんだよね、たぶん。というか二人は別れる時にもっと自分がどうしたいか、相手にどうしてほしいかちゃんと言えたらよかったよね。藤野は「京本と一緒に漫画家になりたい」って言えばよかったし、藤野は「絵がもっと上手くなって、それで藤野キョウの背景を描きたい」って言えれば良かったよね。
それで、パラレルワールドで藤野と京本がいっしょにならなくっても、人が進むべき道がけっきょく同じになってしまったり、出会うべきに人には出会ってしまったり、出会うべき本には出会ってしまったりするよねっていう話なのも好き。ジョジョのストーンオーシャンのラストみたいで良い。
なんで漫画を描くのか
さいごの方のシーンで藤野のセリフ「だいたい漫画ってさあ・・・私、描くのはまったく好きじゃないんだよね。楽しくないし、メンドくさいだけだし、超地味だし、1日中ず〜っと絵描いてても全然完成しないんだよ?読むだけにしといたほうがいいよね。描くもんじゃないよ」ってのが最高。
コマ撮りもメンドくさいだけだし、1日中ず〜っと撮影してても終わんないし、撮ってる最中、苦しいって感情の方がだいたい多いですし。なんでこんなことしてんだろってよく思いますよね。
それで京本に「じゃあ、藤野ちゃんはなんで描いてるの?」って聞かれたあとのシーン。何もセリフはないけど、藤野と京本が一緒に漫画制作してる日々のシーンがつづいた最後に、藤野が描いたネームを読んで京本の笑顔のアップ。
描いてる理由ってこれですよね。誰かが面白いって思ってくれるからものづくりしてるわけで。藤野からしたら京本が1番最初のファンで、京本を楽しませるために漫画を描いてたんだよね。
だから苦しくっても超地味でやりつづけるんですよ。
映画だとさいごに漫画の執筆に戻った藤野の背中をずっとみせながら夜が明けてくところにスタッフロール。この演出もよかった。余談だけどタッフロールが短いのにちょっとびっくりした。
ぜんぶ書いたかな。演出の分析はぜんぜんしてないけど、たまにはこういう記事もいいでしょう。(いいですか?)
