仕事論・創作論
2023年11月22日

自分の中のジャッジマンを黙らせるには / 『インナーゲーム』『アイデア大全』

昔読んだ本と最近読んだ本がつながった話。
今日紹介する本は
「インナーゲーム」「アイデア大全」

最終的に「アイデア出しの時にどう自己批判をしないか」を書きます。

『インナーゲーム』

インナーゲームはテニスプレイヤー・テニスコーチだった著者がテニスプレイヤーの練習方法や試合のときの考え方を色々と書いてある本。おすすめ。けっこう色々と良かったのですが、そのときの1つを紹介したい。

人は自分が何かをやるときに「これ、本当にやっていいかな」「もっといい方法あるんじゃないか?」と常に考えがち。この本では自分をセルフ1、セルフ2と分けて、自己批判するのがセルフ1、本来の自分がセルフ2として説明している。このセルフ1とセルフ2って言い方すごく混乱するので(だって数字で区別するってすごく分かりにくい、まず活動するのが2で後から批判するのが1って順番逆じゃない?って思う)、ここでは自己批判する自分をジャッジマンと呼びたいと思います。

テニスの練習をしているときに生徒は「フォームを直したい」と考えて、ボールを打つときも「フォームを直さなきゃ!直さなきゃ!」と自分の中のジャッジマンがうるさいから体が硬くなっていたりする。このジャッジマンを黙らせるだけで、フォームがよくなることがある。では、どう黙らせるか。ラリーをしているときにボールがコートにバウンドしたら「バウンド!」と叫ぶ。そしてラケットで打つときは「ヒット!」と叫ぶ。「バウンド!ヒット!バウンド!ヒット!」みたいに叫びながらラリーを続ける。そうするとフォームがよくなる。ジャッジマンが常に脳の片隅にいてずーっと批判をしてくるので、だまらせるために余計なこと「バウンド!ヒット!」を言うということをしつづけるということだった。ジャッジマンは左脳にいるのかもしれない。

僕はテニスをしたことないけど、おそらくこのジャッジマンは全ての人の頭の中にいて、あらゆるタイミングで横から「これよくないんじゃないか」とささやいてくる。こいつはクリエイティブ系のアイデアだしでも出てくる。自分でアイデアを出すときも「いいアイデアを出さないと」と思って固くなってアイデアが出ないということがある。

これに対しての答えが「アイデア大全」にあった。

『アイデア大全』

読書猿という著者があらゆる文献から先人たちがどうやってアイデア出しをしたかを書いている本。本当に古今東西あらゆる事例が書かれていて辞書です。分厚いです。全部読むの大変でしたが面白かったです。エジソンがアイデアノートを3000冊書いてたエピソードとかすごい。

そしてこの本を全部読んで、やり方の共通な部分がいくつか見えてきました。
アイデアだしのパターンとして
・1つの要素から派生する要素を複数書き出す。
・1つの要素にまったく違う別の要素を組み合わせる。

みたいながあるんですが(この2パターンでもいろんなやり方がこの本には紹介されています)、どちらも数をたくさん書き出すんです。3×3の9マスの表をつかって、真ん中に要素を1つ書いたら周りの8マスを埋めるように関連要素を書き出すとか。組み合わせのやり方なら、とにかく関係ない単語をたくさん用意して、ひたすら組み合わせる。

数のノルマを用意したり時間制限をもうけたりしてる、結局何をしているかというと「自分がアイデアを出す瞬間に、そのアイデアが良いか悪いかの自分で判断をしない」ということだと思いました。たくさん出して、あとから良い悪いを考えて良いものをピックアップすればいいのです。

アイデア出しに慣れてない人は最初の1つめから良いアイデア、オリジナリティあふれるアイデアを出そうとがんばる。つまりジャッジマンが横でじーっと見つめてる状態でアイデア出しをしようとしてしまう。でも本当に良いアイデアを出す人は、思いついたものを手当たりしだい紙に書いて、そのなかから選ぶんです。だからクズみたいなアイデアも出すし、そのクズみたいなアイデアから派生して良いアイデアが出ることもよくある。

ブレインストーミングの打ち合わせをするときの鉄則である「批判をしない」も同じことですが、これを自分の頭の中でもやらないと良いアイデアはでない。

というわけで、僕はコンテとかつくるときは、思いつくことをひたすら書き出すし、思いつくことができなかったら、目にうつる物をぜんぶ単語にして、その単語といまの案件の組み合わせのアイデアを書き殴ります。

「数が質をつれてくる」ってミシェルゴンドリー監督も確か言ってた。

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