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2024年1月30日

おすすめポッドキャスト『歴史を面白く学ぶ コテンラジオ』

最近ぼくが聞いているポッドキャストを紹介します。

主に2つ聞いてて、その1つがCOTEN RADIO(コテンラジオ)
コテンラジオすごくいいですよ。(思い出話を書きすぎて長文になりました)

歴史を面白く学ぶ コテンラジオ

ポッドキャストを聞いてる人にはかなり有名だと思う。

一番面白いポッドキャストを決めるJAPAN PODCAST AWARDSで2019年 大賞とSpotify賞をダブル授賞。そして2020年にApple Podcastでも1位をとったそうで、それ以降も1番面白いポッドキャストだってことが何回も認定されてる。

僕も人にオススメしてましたが、最近だと初めて会う人で「私も聞いてますよ」って言われることも増えた。

コテンラジオ YouTube
コテンラジオ Spotify

説明

どういうポッドキャストか説明すると、古典つまり歴史の番組で、メインMCは株式会社コテンの代表の深井 龍之介さん楊睿之さん(ようえいし、通称ヤンヤンさん)という歴史に詳しい2人と、聞き役の樋口 聖典さんの3人が、世界中の歴史をいろいろなテーマで話してくれる番組です。

深井さんは歴史にすごい興味があって、そこから学べることを広く世の中に伝えねばと思ってらして、株式会社コテンでは歴史のデータベースというのをつくろうとしています。この説明ではざっくりしすぎだと思いますが、いろんなできごとや偉人を普通ではやらないような検索で調べれるようにするみたい。「途中までニート」とか「身分を超えた大出世」とか「No.2として活躍」とかそういう検索ができるみたい。後述しますがコテンの歴史の学びっていろんなことからの共通点を見つけてそこからどう解釈するかがすごいんです。

株式会社COTENのサイト

そもそもコテンラジオでのテーマがすごくて「スパルタ」「日露戦争」「ヒトラー」「カエサル」みたいな国や偉人をテーマにすることも普通にあるけど、そうじゃないテーマがすごい。

「お金の歴史」「性の歴史」「老いの歴史」「社会福祉の歴史」「資本主義の歴史」とか他では聞いたことない切り口で歴史をやってくれて、それを聞くと現代社会と昔の違いが分かって「いまの社会ってこうなんだ!」「これって全然普通じゃないんだ!」ってことが分かるようになってます。それをリスナーに理解させるためにコテンをやってる。

そして番組をつくるために、毎回のテーマについて本や論文を100冊以上もコテンのチームが読んで、台本を何百ページも書いて、何時間も収録して(徹夜で収録とか3日に分けて収録とかしてるっぽい)、それで非常に重いコンテンツをつくってます。こんな熱量のコンテンツは他にちょっと見ないと思う。

そして歴史に詳しいってことだけじゃなくて、聞き役の樋口さんのトークが面白い。偉人に対して「変態やん!」ってツッコミしたりボケたり、歴史に詳しくない素人目線でコメントしてくれるので歴史に詳しくない僕としても助かるのです。さすがに3〜4年もやってきたら歴史に詳しい人になってしまいましたが。

それで、その樋口さんと僕はむかしよく一緒に仕事をした仲なのです。

樋口さんと仲良しです

樋口 聖典さんはすごい人でして、
音楽制作会社を弟と立ち上げて、
東京で主に広告の音楽をつくる仕事されてて、
吉本芸人になって、
芸人のどぶろっくさんと「どぶろっかーず」っていうバンドを活動して、
そのあと地元福岡の田川に移って
廃校になった小学校を宿泊施設とか録音スタジオとかにリノベした「いいかねPalette」という施設をつくって、
いまは10個くらいのポッドキャストに出てしゃべってて
IQが高くてメンサ会員
っていう、よく分からんくらいにすごい人。

この樋口さんが僕の大学のときの先輩で、一時期よくお仕事を一緒にやっていたんです。

最初にお願いした曲が、僕の自主制作の『魚に似た唄』。

『魚に似た唄』

作品はこちら。

樋口さんに音楽をつくってもらうまでの話

僕が行った大学は九州芸術工科大学って福岡にある、主にデザインを学ぶ大学。
学生時代の樋口先輩はバンド活動とか映画制作チームで音楽を作ってたりしてて、有名な先輩でした。つくってたアルバムも本当にかっこよかった。

僕は芸工大を卒業したあと東京の武蔵美の院に進学して、卒業したあと1年間ひきこもって『魚に似た唄』を作りました。そして完成させたときに「曲どうしよう?」となったのです。

相談した友達づてに樋口さんを紹介してもらい、新宿の喫茶店で初めましてって挨拶して、その場で作品をみせて、映像を見てる樋口さんの反応から興味もってもらえたっぽいなって感じがしたので、「これに曲をつけてもらえないでしょうか?」って相談しました。そしたら樋口さんはかなり乗り気でOKしてくれまして、後日に樋口さん家に行って作曲したり効果音を録音しました。

それから長いこと僕の仕事の音楽をほとんど樋口さんに作ってもらいました。

なんども樋口さん家にいって、樋口さんが徹夜で曲作るのを後ろから見て、あいまに宇宙とか人工知能とか仏教とか将棋の話をして、朝にラーメンを食べて帰るってことしてました。たいてい一晩で曲を作ってくれてました。(調整は後日やってたと思う)

あと樋口さんの結婚式に流すムービーを僕が作ったりもしました。
それが狂ってるんで(笑)のせておきます。

『The True Love Story』

こちらは結婚式でながしたプロフィールムービーの写真スライドショーを抜いたバージョンです。

脚本は樋口さんがやってるコンビ「ギチ」の相方、青柳貴哉さん。
樋口さんから「結婚式ムービーを作ってくれ!内容は貴哉が考えるから!」って言われて、喫茶店で青柳さんと初めましてって挨拶したら、青柳さんから「男の人がいて、自転車見たら鯛のお頭があって、それを武者が奪いにくるんよ。それで武者に首がはねられたら、中からタコが出てきてな」って話をきいて、僕は「はあ、はあ、なるほど、なるほど」って相槌うって、それを割とそのまま作ったという作品。こういうナンセンスというか不条理な作品も大好きです。

ちなみに樋口さんの弟の太陽君も音楽やってるので太陽君に仕事をお願いすることもよくあります。(太陽君もコテンラジオの番外編とかにゲスト出演してますね)

あー、思い出を書きすぎました。
コテンラジオの話します。

コテンを聞いて考えること

コテンラジオを聞いてると、深井さんも樋口さんも起業家ってこともあって、歴史の話をするときに、国とか政府が誕生した経緯を「スタートアップの会社でこういうことってよく起きるよね」とか、戦争のことを「大企業VS地方のベンチャービジネスみたいな」と言うふうに現代のビジネスに例えてくれるのが分かりやすいし面白い。あと政治の制度を変えるときに「OSを入れ替える」とかの例えも面白い、納得するところがある。

歴史の事実をどう解釈するか、ここから何を現代人は汲み取ったらいいのかということを言ってくれる。

この解釈の具合が他の歴史番組と圧倒的に違っていて、ただ歴史の出来事をきいて「こんな偉人もいたんだ、自分もがんばろう!」みたいなザックリした感想じゃなくて(浅い感想がダメとは言いませんが)、「自分だったら、いまの状況でどうするだろうか」って真剣に考えるきっかけになります。啓蒙活動だよね。

具体的に僕が印象に残っている話はカエサル編

ユリウス・カエサル編から僕が受け取ったこと

ふわっと話をしますと、もともとローマに元老院があって、そこでカエサル、クラッスス、ポンペイウスって3人のすごい人が活躍してたんだけど、元老院はこの3人の権力が強くなるのは困るって考えて3人に圧力かけたり追放したりしてて、そしたらこの3人はもともとライバルだし仲悪かったのに、3人が結託して元老院を倒した。みたいな話があったんですよ。(聞いたのけっこう昔だから情報ただしくないかも)

この「自分を守ろうとして敵をつくると、その敵が大きくなって襲ってくる」というパターンは他にもあったと思ってて。この話が印象に残っているのはもともと僕が人に嫌われたくないって気持ちがつよいから尚更そういう解釈をして聞いてるってことなんだけど。とにかく自分から敵をつくると良くないなって思ってるんです。

もう1つ覚えてる話。

法律、社会、人の心、は同時に変わらない

これは深井さんが何回か言っていたと思うことで、時代が変わって社会が変わっても、人の心は同時には変わらないし、人の心が変わっても法律がそれに対応するのにも時間差がある。
民主主義の歴史の回で、ドイツが王政から民主主義に変わろうとして選挙したらまた王政に戻ったってこともあった。

いまだと、LGBTQがそうだと思います。受け入れようって気持ちになってるけど、法律はまだ整ってない。

あと、ネットリテラシー。フェイクニュースとか問題とかあるけど、インターネット技術がひろがったことに対して人々の心も法律も対応できてないから、攻撃的なコメントがあったり炎上騒ぎがおきたり困ったことが増えてる。

つまり、いつの時代も過渡期だということ。

コマ撮り業界について

それで僕はコマ撮りの仕事をしているので、コテンラジオを聴いてるときに「コマ撮り業界に当てはめるとどうなのかな?」とか思うのです。残念ながら何か具体的なことを考えれるわけじゃないですが。

でも、思うのはコマ撮り業界も過渡期で、いまドワーフさんという大きめな組織があって、WITスタジオさんがそこに並ぼうとしてて(というか並んでて)、そのまわりはほとんどがフリーランスで、ネトフリとかの大きな仕事が増えてて、CMとかの小さな仕事も増えててアニメーターが足りないって話はよく聞くし、コマ撮りの仕事を依頼したい人と請けたい人がうまく繋がってないと思う時もある。あと仕事の予算が少なかったり納期が短い企画が多くてどうしようみたいな。

フリーランスが多いのもあって、安定した制度みたいのがない感じがしてて、(労働組合とかないし)、これらはいきなり解決させられる話じゃないから中期長期的にみて色々なことをやってかないといけないんだろうな、ってことをコテンラジオ聴きながら思っているのです。

だって、短期的に解決させようとして失敗したり、やった結果がぜんぜん違うことになるってエピソードがいっぱいなんだもの。人にはどうにもならない時代の流れとか、社会構造的にむりじゃんって話もあって、慌てて何かをしてもダメなのかなーみたいなことを思ってます。

でも何もしないっていうのも違ってて、結果を残すのは情熱を持って何かに打ち込んだ人だってのもコテンラジオ聴いててよく思います。

そんなかんじ。
とりあえずコテンラジオを聞けばみんな勉強になると思う。

追記
ヤンヤンさんの回もとてもいい。カーネルサンダースの回とか龍の歴史とか。切り口も面白いけど、やさしい感じがするのがいい。深井さんはキレッキレな感じがいい。

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