漫画 コマ撮り
2023年10月3日

この漫画にはコマが足りない / 『絶体絶命でんじゃらすじーさん』『そやまんがぶろぐ』『冒険大陸アニアキングダム』

漫画の『でんじゃらすじーさん』ってご存知でしょうか。フルネームは『絶体絶命でんじゃらすじーさん』。2004年〜2006年にコロコロコミックで連載してた漫画です。僕はこの漫画を読んだことありませんが、この作者の曽山一寿さんのブログが面白いです。

『曽山一寿のそやまんがぶろぐ』

日常の面白ネタもありますが、漫画の書き方とか自説を解説しててそれがとてもためになります。その中で自分的に1番ためになったのがこちらの記事。

漫画家の先生のダメ出しがとても役に立った話』

その1

その2

その3

その4

その5(最終回)

ダメ出しの内容

ブログがなくなったら困るので自分的に記事の内容をまとめると

・曽山さんが24年前にアシスタントをしていたときの話。

・漫画家先生に自作の漫画を見てもらったところ
「この描き方だと人に伝わらない」と言われる。

・描いた漫画がこちら↓

1:主人公が歩くコマ「さーて遊びに行くかー」
2:「久しぶりだな」と敵キャラ登場。主人公「オマエは悪山悪男!」

・「この漫画はコマが足りない」と言われる。

先生がコマを追加するとこうなる

1:主人公が歩くコマ「さーて遊びに行くかー」
2:敵が現れる、足のみのコマ
3:ハッとおどろく主人公の顔のアップのコマ
4:「久しぶりだな」と敵キャラ登場。主人公「オマエは悪山悪男!」


「足元のコマ」「顔のアップ」のコマを追加すると漫画が読みやすくなる!!話の流れ、感情の変化がスムーズ!!

わかりにくい漫画とわかりやすい漫画

「面白い漫画と面白くない漫画があるのではなく、わかりやすい漫画とわかりにくい漫画があるだけ」
これは曽山さんもブログで書いてるし、ジャンプの伝説的編集長の鳥嶋和彦さんも言っていました。

僕もすごいそう思います。漫画に限らず映像でも。面白くない作品は「作者が思った面白いことが客にちゃんと伝わってない」ということ。

アニアキングダム

僕の話になりますが、このブログを教えてもらったのが今年の4月ごろ。コマ撮りアニメーターの宮村和くんに教えてもらいました。

そのとき僕は『冒険大陸アニアキングダム』というTVシリーズに関わっていました。アニアという動物フィギュアのおもちゃがコマ撮りとか操演(人形劇みたいなやつ)で動かして撮影する番組です。シリーズ全体で40話ちかくあるのですが、その中の4つの回を監督していました。

1話が7分ちかくあって、アクションもギャクもあるストーリーもので、僕がいままで作ってきた作品と全然ちがうので、とてもチャレンジな仕事でした。10月現在のいまは担当した最後の話の編集段階です。ちかぢかアフレコがあります。
そんな時期にこの「足りないコマ」の話がすごく参考になりました。

このブログを読んだ後に作ったのがこちらの25話

第25話 「ごっつい!パワー対決!」

脚本をもらって絵コンテを描くところからが僕の仕事だったのですが、脚本には基本的には

・サイラス「咆哮」
・ゴッツ「咆哮」
・ゴッツとサイラスがはげしくぶつかる。

くらいの文章しかないのです。(たまに詳しい時もある)。どういうカット割りで、どういうアングルで撮るかは監督のセンスによるのですが、この25話では技を出す前に顔のアップで気合いをいれる表現をしたり、足元だけの登場シーンをやってみました。ただカットを細かくし過ぎると見てて忙しくなるし、全体の尺は決まってるからどこまで細かいカットを割るかバランスをとらないといけないのが大変。

分かりやすくしようとすると、たぶん状況説明のカットを考えるとおもいます。そうなると全体の様子がわかるヒキのアングルのカットを足しがちだけど、他に「感情の変化をわかりやすくする」のも大事で、そうなると顔のアップとか、注意を引くために手元のアップが必要なんだと思います。

この25話がうまくできたのかどうかわかりませんが、とにかくこのでんじゃらすじーさんのブログのおかげでカット割りがやりやすくなりました。曽山先生ありがとうございました。

ちなみに今日紹介したこと以外にもすごい色々とテクニックを書かれてたり、日記がとてもリアルで面白くておすすめですが、読んでてすごい時間たつからあぶない(笑)

そやまんがぶろぐ

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