月別アーカイブ: 2016年10月

お客さんの評価を気にしない話

小説家の森博嗣の本で書いてあったことなんですが

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新作を発表すると
「今までで一番面白かったです」というお手紙と
「今までで一番面白くなかった!」というお手紙が半々届く。
毎回、半々届く。

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だそうです。

半々かはわかりませんが僕も似た経験があります。コマ撮りを作って友人とかに感想を求めるわけですが、1人目が「いいね」って言ってくれていい気になってると2人目で「よくないね」って言われて凹む。逆もあります。良くない、って連続で言われたあとにベタ褒めしてくれる人が現れるってことも。

それで、全体として良い評価が多いのが良作なんだと思いますが、それでも良くないって言うお客さんも何%かはいるわけで。良くないってみんなが言ってる作品にだってファンは居るわけで。

もう一人一人の感想に一喜一憂してらんねーよ!という話かもしれない。

まあ、一喜一憂するんですけどね。

そういうときに、森博嗣の「どちらも半々いる」という言葉を思い出すと、少し気が楽になります。

 

自分の評価があてにならない話

これはアニメ監督の新海 岳人さんが言ってたことで、そうだよなーって思ったことを紹介したい。
(ちなみに新海 誠ではありません。『かよえ!チュー学』『あはれ!名作くん』とかの監督)

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自分が作品を作って「これはよく出来た!90点くらいの出来だろう!」と思って発表しても、お客さんのリアクションは80点とか70点くらいだったりする。
逆に「今回はダメだったなー。50点くらいの出来だわ」と思って発表しても、お客さんのリアクションは60点とか70点だったりする。

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多分、この話は8年か9年くらい前に聞いたんです。

作品というのはお客さんに見てもらってなんぼなわけですが、自分が思っている評価とお客さんが思っている評価は全然違うという話です。
良いと思った部分が伝わってなかったり、逆にそこがよくないと言われちゃったり。自分が悪いと思っている部分をお客さんは全然気にしてなかったり。しかも自分がまったく気にせず作った部分に注目をして「ここの演出がいいね!」みたいな反応をしてくるお客さんもいます。予想外の反応で戸惑うこともしばしば。

良くも悪くも、自分の評価はお客さんの評価と違うという話。

だから自分の評価は気にするなという話。

気にせず作れ。

フリーランスにお勧めしたい片付けと時間整理術の本

世の中のいろんなビジネス書とか働き方の本ってほとんどが会社勤めの人むけなんですよね。
僕はフリーランスで働きはじめてそのまま来たので、自宅で仕事してる人向けの本がないもんかと思ってたんですよ。そんな中、見つけた本がこちら。

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『片付けられない女のための こんどこそ!片付ける技術』
池田 暁子 著

作者の池田 暁子さんはフリーランスのイラストレーター。自宅で仕事しつつ、打ち合わせでたまに相手の会社に行ったりして働いてる人。この人の1連のマンガ面白かったです。

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『貯められない女のための こんどこそ!貯める技術』

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『必要なものがスグに!とり出せる整理術』

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『1日が見えてラクになる!時間整理術!』

発行順です。
どの本も池田さんの実体験を書いているので、フリーやってる人たちは共感する内容だと思う。あ、自宅作業で独身という条件もつきますが。仕事道具であるパソコンまわりが片付かないとか、1日中だらだら仕事しちゃうとか、気分転換の喫茶店代がかさむとか、そういうのが分かる分かるって感じ。

『片付ける技術』が1冊目なんですが、この人もともと片付けが全然出来ない人で、自宅はいわゆる汚部屋。そんな部屋を見て、好意を寄せていた男性から振られるという悲しいエピソードから始まって、なんとか普通の部屋になるまでがこの本です。
その後に、ある編集者さんから企画を持ちかけられて、整理術と時間整理術の話になります。この編集者さんは優秀な人だと思う。池田さんをうまいこと誘導してためになる本を書かせてます。表紙の池田さんの顔が困り顔から徐々に笑顔になっているのが面白い。

フリーランス向けだという点以外にもう1つ面白い部分があって、それは池田さんがいろんなことが出来ない人だということ。片付けとか貯金とか時間管理とか全然できない。片付けのハウツー本って片付けが出来てる著者がノウハウを教えてあげる立場で書かれてるのが多いじゃないですか。でもこの本は違ってて、全然出来ない池田さんが出来ない立場からがんばるって話なんです。池田さん自身も整理術の本を読んで何度も片付けに挑戦して挫折してきた人。著者の視点が違う。そして池田さん自身に片付けの本の言っていることが今まで通じてなかったというくだりも出てきます。だから、もしかして「出来る人が書いた本は、それが出来る読者にしか伝わらない」かもと思える。他の整理術の本を読んで挫折した人はこれを読むとがんばれるかも。

なので、これらの本は他の整理術の本にくらべてテクニックとかの要素が少なめかもしれません。「ゴミはすぐに貯まる!」「買い物から帰ってきたら買ったものをすぐにバラして片付ける!」「とっておくか捨てるか悩むものはがんばって捨てる!」といったこと1つ1つに気づくまでの池田さんの努力と葛藤が面白いです。

貯金の話だと、お金がどれくらいあるか分かるようにする為にひと月に使える金額を全部だして、それを全部千円札にして、10日で使う分にわけてクリップで留めて、引き出しにしまう、という方法もでてきます。目に見えるようににして使いすぎをやめる努力。出来る人からしたら「何でそんなことわざわざするの?」って言われると思うけど、こうしないとお金をどれくらい持っているのか感覚としてわからず、ぼんやりと全額を使ってしまうのですよ。

(ちなみに、僕は普段から全然お金を使わないので、なんとなく暮らしてて貯金が残っているという生き方です。だから貯金とかがんばるつもりないんですけど、池田さんの漫画が面白くて買いました)

整理術あたりからは僕に取っても為になることが多めでした。個人的に為になったのは「請求書とハンコと封筒を請求書セットとして同じ引き出しにしまう」というもの。僕は全部違う場所にしまってたんですよ。そうじゃなくて目的にあわせて物をまとめると作業がすぐ済む。とはいえ今だと請求書はpdfという人も多いですか?

時間整理術は共感することがかなり多かった。「ネットしてて時間がすぎる」「食事・ゴミ出し・風呂だけで時間がめっちゃかかる」「メールの返信を考えてて、後回しにしちゃって、返信を忘れる」「メールを送ると返信がくるまでソワソワして他ごとに手がつけられない」「午後の打ち合わせが気になって午前中は仕事に手がつかない」「平日だらだらしたから締め切り間際の土日に徹夜で仕事してる」とかとかとかとか。そういったことを色々なやり方でなんとかしていこうという話。ノートを使ったり付箋を使ったり、部屋の中の荷物の置き方を変えたりとかとか。細かいネタも多いし、それぞれの失敗体験とかもあって面白いです。当たり前だけど仕事の仕方が僕と違うので、すべてのテクニックが使えたわけではないですが、それでも悩んでいることはどれも共感したし、それだけでも「僕も自分なりになんとかしようかな」と思えました。

いま日記を書いてて思ったけど、僕はテクニックそのものより「そのテクニックを見出すに至った経緯」が好きなんだね。先日の松下幸之助さんの本についての日記にもそう書いたかな。池田さんの成長記録に喜び涙します。

というわけで、フリーランスもしくは片付けできない人たちにこの4冊をお勧めします。他にもダイエットとか料理とか書いてますし、池田さんはやがて結婚しましてそのエッセイ漫画も描いてます。アマゾンレビューをみると内容がひどい(笑)らしいですけど。そちらは読んでませんが。

*おまけ*

整理術の本は独身で一人暮らしのときのものです。そこで「文房具は1箇所にまとめる」というやり方が出てきましたが、僕は結婚してからは文房具が「仕事部屋」「リビング」「撮影に持っていく道具箱」の3セットが必要になりました。以前は断捨離をしてたこともあって「ものを増やしちゃだめ〜」って思ってて、結局生活が面倒くさいことになってたんですよ。「ハサミどこだっけ〜、リビングだっけ〜、仕事部屋だっけ〜」みたいな。シャープペン・消しゴム・油性ペン・はさみ・カッターナイフ・セロテープを全部3セットにしたら一気に楽になりました。つまり、それぞれの生活にあった量にすればよいって話なんだと思います。

そして時間管理もね、子供ができたから今までのようにはいきません。また一から生活のパターンを作っていかないと。というか友達のアニメ作家(お子さんそろそろ2歳)に聞いた話では、子供が成長していくのあわせて生活も変わっていくから、決まったパターンなんてもう無いらしいです。そのつど生活とか働き方を臨機応変に変えていかねばならんと。片付けも時間も常々考えるってことでっしゃろ。