映画・映像
2023年9月8日

眼帯と松葉杖 / 『セイブ・ザ・キャットの法則』『天気の子』

前回の『物語の才能』に続いて、おすすめしたい脚本の本は『セイブ・ザ・キャットの法則』


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これはハリウッドの売れっ子脚本家が描いたテクニック集。
「あなたが書いた脚本がつまらないのはここにあるテクニックを使ってないからだ。ここのテクニックを追加すればヒットする」という書き方で

「キャラクターの内面を深掘りしましょう」とかそういう話はしません。
全部、自分の脚本にプラスアルファすればヒットする、というか多くのお客さんに受け入れやすくなるというもの。

どれも目から鱗というか、納得のテクニック。しかも自分の脚本を大きく修正しなくていい、というのも嬉しい。

王道パターンというのはマナーみたいなものか。

なんというか、こういうのを見るとヒットする作品は王道パターンがあるように感じますがそれは、内容が似ているのではなくて、やるべきマナーをしっかりしている感じだと思います。

男性向けファッション雑誌のおしゃれになる方法を見た時に服装の話と同時に「清潔感が大事」って言ってる感じ。

もてたい人が居たときに、その人の性格を変える前に、ちゃんと風呂にはいって、髪を切って、爪とか鼻毛の手入れするみたいな。身だしなみを整えれば相手に話を聞いてもらえて、そのあとで内面を知ってもらって好きになってもらう、みたいな?どうでしょうこの例え。

なので映画もマナーがよければ多くの人に見てもらえて、その中から「これのストーリーがいい!」って共感してくれるお客さんも現れる。

そて、セイブザキャットにはそんなテクニックがいくつもあって、「Save the cat」(猫を助けろ)もそのテクニックの1つですが、今日は別のテクニックを紹介します。

キャラ立ちしてないモブには「眼帯と松葉杖」

めだたないキャラには眼帯と松葉杖をつけておけ。見た目でキャラをつくれというもの。
なんでそんな格好をしているかの説明セリフとかはなくても、観客が「この人、このシーンの直前に事故ってるな」ってなる。

眼帯以外に思いつく例は、例えばすごい堅物のおじさんキャラがファンシーなかわいいキーホルダーを持ってれば「怖い感じだけど、本当はかわいい人かも」って勝手に解釈してもらえる。尺をつかわないでキャラを深掘りできる。

そのテクニックが映画が新海誠監督の『天気の子』にありました!

天気の子

これの後半に主人公を追いかける刑事が2人、おじさん刑事と若い刑事が出てきます。この若い刑事がリーゼントと下まつ毛のキャラなんです。

このキャラのセリフはそんなに多くないのですが、見てる人は「この刑事はもともと不良だったのかな、だから主人公のことが気になるのかな?」と思える。この刑事の人生背景がうっすら見えることで、なんで主人公を追いかけるのかの雰囲気がわかるし、シーンに厚みが出る。
メインキャラではないけどこういう配慮を積み重ねていくことで映画の世界に厚みをもたすというかリアリティを足していって全体のレベルをあげていくんじゃないかなと、最近は思ってます。
(昔は脚本のオリジナリティがすべてだと思ってました)

『セイブ・ザ・キャットの法則』はすごいいい本なのでオススメ。

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