『呪詛』がとても良かった
見たの結構前ですが、台湾のホラー映画『呪詛』がとても良かったです。
Netflixで見れます。
評価もすごい高いようです。実話が元らしいのですが詳しくはしりません。
最近のホラー映画、良いのが多い。
ホラー映画をよく見ていますが、最近つくられるホラーはどんどん怖い演出が良くなってて、たぶん他の映画とか漫画とかもそうですが、作家たちは過去の作品から良いところも悪いところも勉強してって、エンタメやアートが全体的にアップデートされていっている気がします。
個人的にここ最近のホラー映画で好きなのは『トライアングル』『パラドックス』『ゲットアウト』『アス』『ヘレディタリー』『マリグナント』、あと『ミーガン』『ドントブリーズ』
というわけで『呪詛』の個人的によかったところをかいつまんで書きます。重要なネタバレはしない方向で。
序盤から怖い
主人公はシングルマザーのルオナン。
彼女が娘と暮らす家から話がスタートするのですが、そこで物音とかの異変が起きた時にルオナンがめっっちゃ怖がってるのが良かったです。
ホラー映画の冒頭でよくあるのが、呪いとか怪物がやってきても主人公(それかバカなカップル)が「誰かのいたずらか?ドッキリなんだろ?」みたいなリアクションをするパターン。
ことの重大さに気づいているのは観客だけで、登場人物はそれに気づいてないまま対応が遅れて死ぬパターン。
もしくは、怖い演出があって主人公が怖がっても、実は何も起きませんでした、気のせいでした、というパターン。
この2つのパターンはホラー映画でよくみるのですが、何となくですが怖さが半減していると思うんですよね。いや、どちらも面白くはあるんですが。
それに対して本作では最初から主人公が超ビビってる。しかもこの映画は登場人物たちがスマホやビデオカメラで撮影したドキュメンタリーというていなので(ブレアウィッチプロジェクト系列)、撮影している本人の荒い息遣いとかもあわさって、見ているこちらも怖い気持ちになる。それがとても良かったです。
そしてこの映画が記録映像であることのストーリー的な意味までしっかり作られてたのが良かったです。
↓次から序盤の展開についてふれます。
現実時間と回想シーンとの往復
主人公が最初から怖がっているのには理由があって、それは6年前にホラースポットを取材するYouTuberを友達とやっていて、行ってはいけない村、宗教色の強い村に取材に行ったことがあり、そこで自身に呪いがかかってしまっていたから。
だから、異変に対して主人公は敏感になっている。
登場人物がYouTuberというのも、フェイクドキュメンタリーの手法とマッチしています。
そして、とても良いと持ったのは、過去の村のシーンと現在の生活のシーンが往復するところ。どちらでも怖い現象が起きるのですが、2つの時間軸が同時に進んで、怖いシーンの数が多めで、怖い思いがしたい僕はとても満足できました。ちょっと意味がわからないシーンもあったけど、とにかく怖かったのがよかった。
これが、普通の時系列でストーリーを見せられるとテンポが悪くなると思う。
6年前の事件から話がスタート。主人公は友人とYouTuberをしている。閉鎖的な村に行き、宗教行為を取材、そこで良くない行為をしてしまい、呪いを受ける。6年後になり、なんとか無事に生活をおくる主人公、娘もできている。そこでまた異変が起きて、主人公はなんとか解決しようとする。
こういったストーリーを丁寧に描こうとすると、1つ1つの手順を描いていくことになり、端折ったとしてもストーリーの進みが遅くなる。
あと映画をみてて「6年後」みたいなテロップが出ると、見てる人としては一息つける。普通の映画なら一息つくのは大事なポイントですが、ホラー映画は一息つきたくない。だって怖い思いをしたいから。
回想シーンになることで、描かなくていい部分はカットしても違和感がないし、怖いシーンだけを見せられる。
さらに6年前の事件を過去のものとすることで「6年前に何があったんだろう?」という謎も出せる。謎を追いかけつつ、現在での呪いもどうしようかという二重に緊張感があると思う。
バトル漫画での回想シーン
回想シーンをうまく使う手法は、最近のバトル漫画とかスポーツ漫画でもあるなと思っています。
例えば、ボクシング漫画で、昔の作品であればこんな感じなのがあったと思います。
主人公の前に新しい対戦相手が現れる、敵はとても強いのでこのままでは主人公は負けてしまう、そこで主人公は新しい必殺パンチを獲得するために修行をする(新しい師匠を探したり)、苦しい修行の末に必殺パンチをものにする、試合開始、苦しめられるも必殺パンチをくりだし勝利。
な感じになるところを、最近の漫画では↓こんな感じ。
新しい対戦相手が現れる、このままでは主人公は勝てない、周りの友人たちが不安に思うまま試合がはじまる、主人公が戦っている最中に回想シーンになり、修行のシーンが描かれ、必殺パンチを繰り出し主人公が勝つ。
回想シーンを使った方が、必殺パンチを獲得したのかが謎なまま試合がはじまるのでドキドキするし、修行シーンを回想にすると、大事な修行そのもののシーン以外のシーン、修行前の会話、修行場所に移動するシーン、修行終わりの会話とかを全部カットすることができる。
バトルものだと修行の話は人気がないと言われているようですが、修行を回想シーンにしてしまえば、連載漫画なら1話まるまる修行にしなくて数ページで終わらしても問題がない。
わかりやすく丁寧に描こうとすると時系列順がよいのだと思いますが、映画や漫画に慣れている人に対しては、回想シーンで大事なところだけ描いて、現実時間の話を進める方がテンポがよく描けるのでは?
なんてことを思いました。
大事なアイテムは目立つマークをつける
あと演出的に『呪詛』で良かったなと思うポイントを。
YouTuberとして村に行くときに同じYouTuberの友人が自分のビデオカメラにシールを貼るシーンがあります。
いくつもシールを貼っていて、この友人がノリがよくて明るいキャラであることが伝わるのですが、このビデオカメラは事件の後に発見される大事なアイテムとなります。
ビデオカメラ自体はよくある形で黒いので、何も装飾をしていないと、後で出てくるビデオカメラがその友人のものかどうか、一瞬わからないことになる。でも、彼がシール(黒いビデオに黄色い色のシールが目立つ)を貼るシーンをいれることで、この小道具は唯一無二のものになり、時間がたって後からスクリーンに再登場しても観客は誰のカメラか一瞬でわかり、テンションがあがるわけです。
こういうの大事だなって思いました。
人でも特徴をつけてほしい
似たようなことを『映画大好きポンポさん』でも思いました。こちらは映画制作自体を描いた漫画原作のアニメ映画。この映画の後半に重要な女優のキャラクターが出てきます。
その女優さんのシーンが若い頃とお婆さんになってからのシーンがあるのですが、目元にホクロがあるので同じ女性だとわかるようになっています。
実写映画で1人の俳優がメイクで年齢を変えた場合は、同じ人だと分かりやすいかもですが、アニメだとふけさせた時点で完全に違う人物に見えてしまう可能性がある。なのでホクロをつけることがとても重要だったのだと思います。
漫画でも映画でも、こういう特徴をつけるのは、キャラを立てるという意味やオリジナリティを出す意味もありますが、視聴者にわかりやすく、つまり見た瞬間に物事を理解する意味で大事なのだと思いました。
見せられたものが何なのか一瞬で理解できないと、感動につながりにくい気がします。感動的なセリフを言っているシーンで「この人だれだっけ?」となったら感動できないので。
