映画・映像
2023年9月3日

ホラーのカメラアングルは被害者側にしてほしい /『呪怨』が嫌いという話 /『映像+』『死霊のはらわた』

ホラー映画をよくみます。本当のホラーマニアからしたらそんな観てないと思うけど、普通の人よりは観てると思う。

そんな中『呪怨』のシリーズが嫌いです。ブログ一発目から嫌いな映画の話をするのもどうかと思ったけど、長年ずっと考えてきたことだから吐き出したいのです。

呪怨シリーズをオリジナルビデオ版1・2、劇場版1・2、ハリウッド版1・2と全部で6本も見たけど感想として全部怖くなくて嫌いです。好みの問題ってのもあるけど観てて「その撮り方だと怖くないじゃん!」ってよく思った。だからそれを書く。

ちなみに好きじゃないのに6本も見たのは「次の作品はいいかも」と期待したから。そして裏切られた。

僕は映画監督のインタビューをあまり読まないので詳しくないけど、清水崇監督はホラーのセオリーをあえて外したってどこかで言ってたし、「笑われるほどに幽霊を出しまくるのが呪怨のコンセプトである」と語っている。(Wikipediaより)らしい。

監督と僕の好みが違うから好きじゃないってことだけど、それでも「自分的には僕の考えの方があってると思うんだけどな〜」というのがあるから書いていこうと思う。

カメラアングルは被害者側にしてほしい。

呪怨のストーリーを説明すると、伽椰子(かやこ)という怨霊が出てきて人々を襲います。その伽椰子は夫に殺されてて、夫は伽椰子に呪い殺されて息子も伽椰子によってあの世に連れてかれる。かやこ達が暮らしていた一軒家が呪われた家になってて映画の主な舞台となります。そこに訪れた人たちが伽椰子に呪い殺されるというのがシリーズの大体のストーリー。

 

廊下の奥

伽椰子が夫に殺された部屋というのが、2階の廊下の一番奥にあります。伽椰子の怨念が溜まってる呪いの部屋って感じになっている。映画の主人公たちがこの部屋に不穏なものを感じるというシーンが何回かあります。

この映画の美術監督さんのインタビューが「映像+(えいぞうぷらす)」という雑誌に載ってて詳しいのですが、この廊下の壁の色を奥にいくほど暗くしたらしいんです。だからそのまま撮影しても奥の部屋の方が暗くなってて不穏な感じになると。たぶんこうなる。

奥が暗くなってて、いかにもあのドアが怖そうとなるはず。進みたくないなぁ、って気持ちにさせる。でも実際の映画だとこのアングルしかない↓

部屋側からのアングル。手前が暗くて主人公がいる場所が明るく見える。これ、主人公が安全地帯にいるだけで、怖さはないと思いませんか?アングル逆じゃない?

扉を開けるアングル

廊下のはまだ良いんですが、もっと気になるのは、その呪いの部屋のドアを開ける時のアングル。部屋の中から撮ってるんです。

こんな感じで、ドアをゆっくりあけると主人公の顔が見えてくる。このカットの後に部屋の様子を見せるんですが、このアングルも逆だろう!と。

逆にするとこんな感じ。手前のドアノブに主人公が手をかけて、ドアがゆっくり開くと部屋の様子が見えてくる。部屋の中が見たいけど怖いという気持ちがあって、その部屋が少しずつ見えてくるのが怖さを増すと思う。そしてこのアングルのもっと良い点はこんな演出がありえるから。

部屋の中からお化けの手がでてきて主人公の手を掴む!これはかなりビックリするはず。というかドアを開けるシーンっていうのは常に「もしかして中から怨霊の手がガッと出てきて主人公を掴むかも・・!?」とドキドキできるタイミングなのです。

実際にそうならないとしても観客は怖いことを勝手に想像してドキドキできます。

でもこの「怨霊が主人公の手をガッと掴む」という話を呪怨のアングルでやるとこうなる。

部屋の中から手が出てくるのを部屋の中から見る。画面の手前が怨霊(加害者)で奥が主人公(被害者)となる。すると観客の視点が怨霊側(加害者側)の視点になるから、観客は被害者の立場にならなくて怖くない。

だから部屋の中から撮影している時点で、怨霊の手が出てくるという演出はありえないし、観客は被害者と同じ視点になってないから怖い気分にはならない。そこがもったいないと思ったのです。

 

死霊のはらわたも死霊目線

サム・ライミ監督の『死霊のはらわた』というホラー映画では森の中をカメラがゆれながらすごいスピードで進んでいくシーンがあって、それは死霊の目線で「森の中のヤバい存在がログハウスに向かってるぞ」という面白いシーンなんですが、観客は死霊目線なので襲われる恐怖は感じない。面白いけどね。その意味で怖くないなぁと思ってます。この映画は面白いけど怖くない。ホラー映画の楽しみ方ってエンタメとして楽しむのもあると思いますが、僕は怖がりたいという気持ちで見るので、呪怨も死霊のはらわたも「怖くなかったな」となってしまうのです。

好みの話ですね。

おまけ / 雑誌「映像+」について

グラフィック社から出てる季刊誌でvol.12まで出てる。いま絶版かな。映画制作についての特集を組む雑誌で、映画の紹介をする時に監督や俳優にインタビューするんじゃなくて、美術監督、特殊メイキングチーム、特殊造形職人、などのインタビューがもりだくさんでものづくりの本としてとても面白いです。ケータリングの人の取材もありました。

僕が大学院生だったときにこれの編集アルバイトをしてまして、いろんな取材に同行したりテープ起こししてました。奥付けに僕の名前も載ってます。その縁もあってコマ撮り特集号で僕も取材してもらってます。すごい良い経験をさせてもらいました。

古本屋でしか手に入らないですが、面白い雑誌ですよ。

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