映画・映像
2025年2月21日

感情をひっぱるためのOPとEDとスローモーション / 『カルテット』『グエムル』

前回のスマホ脳の話の続きで「感情をひっぱる演出」というのがさらにあると思う。

テレビアニメで僕の好きな演出パターン

例えばですが、テレビアニメの最初のシーンで主人公が森の中を歩いてて、草むらがガサガサゆれて、何かが飛び出してきて主人公がびっくりしたら、オープニングが始まって、CM明けてから、何がとびだしてきたのかが分かる。というやつ。

オープニングが最初にあるのが基本ですが、それを途中にはさむ形にして、しかもそのオープニングの時間は「さっきのアレは何だろう?」と視聴者がワクワクする時間になる。スマホ脳で書いた、予告演出と同じ効果があると思う。

ジャンプではその週の最後のコマを「引き」と呼ぶそうで、引きがうまくできていると読者は次の週を期待してまたジャンプを買ってくれる。引きが大事とよく言われますが、映像でも途中にOPとかCMを挟むことで引きをつくれますね。

ドラマ『カルテット』

これですごい良かったなと思ったのがTBSのドラマ「カルテット」。

1番好きなドラマなんですが、まず役者が松たか子、満島ひかり、高橋一生、松田龍平、っていう化け物ばかりで、ストーリーは主人公たち4人が弦楽四重奏のカルテットのチームをつくって活動してくなか、お互いに嘘や秘密があるという、サスペンスがとてもよいです。現代の日本でリアルにありそうなサスペンス具合がすごい。

衝撃展開の後のED曲

その8話くらいの終わりぎわに、衝撃の事実がでてくるのですが、そのあとエンディングムービーになります。エンディングの歌は椎名林檎さんが書き下ろした曲でそれも素敵なんですが、歌詞の中に「大人は秘密を守る」というのがあってそれを松たか子が歌ってて、すごいドラマの内容とリンクしてるのです。

このドラマはエンディングが無い回もあるのですが、8回のラストは衝撃の事実が出てエンディングが流れるのでその1分半くらいのあいだ視聴者はずっと「えーー??いまの、え?えーー????」ってなるのです。

これがすぐCMになったら一気にドラマの余韻が消えてしまいます。エンディングムービーだけでも上手な使い方があるのだなと思いました。カルテット面白いです。
メインの4人以外もすごい役者が出てて演技もすごいし、脚本も面白いし、セリフが面白いし、何も言ってない時の役者の顔のアップも「いま何考えてるんだろう・・・」ってなる魅力があります。無言の演技がすごい。紹介した演出以外にも色々面白い展開があります。いまならNetflixとかAmazonプライムとかで見れるみたい。オススメです。

『グエムル』

もう1つ考えたのはスローモーションによる方法。
韓国の『グエムル』という怪獣映画が好きです。映画についてのインタビューでグエムルについて1時間以上語ったくらい好き。監督が『パラサイト 半地下の家族』のポンジュノ監督ですよ。

その中で好きなシーンを解説。※冒頭のネタバレあり。

スローモーションの演出

映画の序盤で、川沿いの広場にグエムル(怪獣)が出現して人々がパニックになるシーンがあります。

主人公は40代くらいのお父さんで、娘と一緒に逃げようとして娘の手をとります。2人で一緒に走るんですが、お父さんが振り返って娘を確認すると、じつは全然ちがう女の子を連れていたことに気づきます。

これがスローモーションで見せられるのです。スローで、人々が逃げてて、その中にお父さんが映っていて、手をひかれている娘は最初は画面の外にいます。手までが見えている。主人公が走りながら振り返るとカメラもそちらへゆっくりとパン(カメラの横振り)します。徐々に娘の全身が見えてくると、学校の制服までは娘と同じなのですが、顔を見ると全然ちがう女の子。「あれーー!?!?!?」ってなるお父さんと観客。(ちなみに間違えられた女の子は三つ編み&メガネで、実の娘の髪型とか全然違うのです。違う子だと1発で分かるようにビジュアル設計されていると思う)

そのあと、倒れてる娘を見つけて、そこからストーリーは進むのですが、このカットのスローモーションが素晴らしい。

「違う子とまちがえた」という事実が、スローで徐々にわかるし、解ってからもまだ少しだけスローなので「大変だー!間違えてるー!主人公の娘はどこなのー!?」と観客が驚かされる時間がとても長いのです。
リアルな時間でいえば1〜2秒の出来事だし、すぐに次のカットに行くと、その衝撃もすぐに消えてしまうと思います。

観客に衝撃の事実をゆっくり伝えて驚かせられるし、驚いた気持ちを長引かせる効果があると思います。

それ以外にもすごい演出が目白押しです。怪獣映画ですがゴジラとはまた全然ちがう感じで、家族というテーマのストーリーの重ね方なども素晴らしいのです。

キスシーンもね

同じ感じで、キスシーンでスローモーションをつかうとか、抱き合うシーンでアングル変えて何度も見せるとか、ありますよね。

気分の盛り上がりを長引かせる良い手法だと思います。

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