裸足で踏むとめっちゃイタイ例のあれ

『LEGOムービー』見ました。
これはコマ撮りアニメーターのあべやすこさんからお勧めされて見ました。
そうそう、最近の見る映画はぜんぶ誰かにお勧めされたやつです。ひたすらお勧めの映画を聞いてまわってて、それを携帯にメモって(誰から勧められたのかも書いてる)レンタルDVD屋さんにいったときにそのメモを開いてどれを見ようか決めるという感じ。

すごいよかったー。
これは全年齢におすすめしたい。見てない人は是非見て欲しい。大人も楽しめるし、むしろ大人へのメッセージがある。そしていま予告編がよくないって話をきいてYouTubeで予告編みたけど、日本語吹き替えのセリフが全然ちがってて、これみたら見る気なくすわって思った。予告編は見なくていいです。

CG映画です。コマ撮りに見えるけども。シーンによってはフレームレートをさげるというか、キャラクターがピコピコ動く感じにしてて、おもちゃっぽくて良かった。あと質感にかんして言えばブロックだけなら全然リアルに見えるというか、本物に見えるね。
あべさんが勧めてくれたのも、そのコマ撮りっぽさの点ででして、動きとかテクスチャーのチラつきとかCGの人たちがどこをコマ撮り風と捉えているのかがわかるって。

しかしCGでコマ撮りそっくりな映像ができる時代ですからね、コマ撮りで映画を作る意義とか考えちゃうよね。
まあ、それでも僕はコマ撮りで作る意味があるものを作っているつもりですが。CGで同じものが作れたとしても手で作ることに意味がちゃんとあるものを作りたい、と思ってはいる。そうじゃないものも作るけど。CG映像も好きだから、敵対するのではなく住み分けを考えたい。

海とか爆発の煙とか全部レゴのブロックでカチャカチャカチャってできてて、すごいかっこいいなって思った。映画を見ながら(このシーンを本当にコマ撮りでやりたいなー)って思ってた。というか(なんで僕はこれをコマ撮りで作ってないんだろう)って思ってた。正直これをコマ撮りで作れるようなスキルとスタミナをいま持ち合わせていなんですけど、なんかそんなことを思って最初落ち込んでたわ(笑)

話がバツグンによかったです。ギャグのセンスもテンポもキレッキレなのでぜひ日本語吹き替えで見て欲しい。山ちゃんがめっちゃがんばってます。何役やってたんだろう(笑)あの人ほんとにすごいわ。

主人公は建設作業員で、どこにでもあるレゴ人形のパーツだけで作られてて、平凡な男性。平凡な主人公というのはよくあるけど、それをレゴのパーツまで含めて表現できてしまうから、レゴならではの説得力があっていいと思う。

マスタービルダーという「レゴパーツから乗り物とか道具とかオリジナルなものを自由自在に作れる存在」がいて、それがヒーローたち。これはレゴで遊ぶ子供達から見て憧れの存在であるし、またレゴで自由に作れる子供自身とも言えると思う。君たちがヒーローなんだ、と。そして面白いのは主人公はマスタービルダーではなくてマニュアル通りにしかものを作れないし、生き方もマニュアルにそったものしかできないという設定。そして彼はたぶん最後までマスタービルダーのようにはなれなかった。
主人公が活躍するシーンが途中で(当然ながら)出てくる。そのときに「マスタービルダーのように自由に作るということは敵も想定の範囲内だから、敵の裏をかくためにあえてマニュアル通りに作ろう!」という流れになるのが良いと思った。レゴで遊んでいる子供達の中にはオリジナルなものを作るのが苦手でマニュアルにあるものだけを作って遊んでいる子もたぶんいると思う。そういう子達も活躍できる場がストーリー中にあったというのが良かったと思う。レゴ社からしたら、好き勝手に作る子供も、マニュアル通りに作って遊ぶ子供も両方を大切にしたいだろうし。

僕の事を言うと、大学生のときに実家に帰省したときにレゴを見つけたから遊んでみようと思ったけど、全然できなかったんだよね。何を作るか考えようとしてもアイデアが出てこなかったんです。なのでいま主人公の気持ちがよくわかる。マスタービルダーはかっこいいというのがわかるけど、ストーリー中にマスタービルダーではない主人公が活躍できる話があったのが救いだと思う。

あと頭に車輪をつけるアイデアって僕も子供の時にやってたから、すごい笑った。2段ソファとかもしょうもないアイデアなんだけど、あういうかっこよくないアイデアしか出てこないのはよく分かる。

ちょっとここからラストのネタバレになっちゃうので見るつもりの人は帰っていただきたいのですが。

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「上にいるお方」という呼び方で人間の存在がちょこっとずつ出てくるけど(レゴ住人からしたら何かわからないけど絆創膏があるとか)、最後に本当に人間、男の子とお父さんが出てくるのはすごい良かった。レゴの世界からしたらメタ的に見えていた人間世界の話まで見せて、そこでの問題と解決を描いて、同時にレゴ世界の問題も解決させたのは本当に感動した。完璧なんじゃないかな。

あとあと、人間世界が描かれた事によって「レゴ世界の話は男の子の想像の話だったんだね」となるかと思いきや、人間世界でレゴ人形エメットがカタカタ動こうとしてて、「やっぱりおもちゃは人間が見てないところで動くんだ!」って思える展開がすばらしい。おもちゃの世界は人間の世界と共に存在しているのです。

「レゴで自由に遊ぶ子供達の敵は誰か」という話ですが、敵はレゴ以外のおもちゃ(例えばレゴVSテレビゲームとか)ではないし、レゴで遊ばない人たちが敵でもなくって、レゴの遊び方を「これ以外認めない」というお父さんが敵だったわけよね。というか敵ではないんだけど、自分以外のレゴで遊ぶ人と仲良くなるという話だったわけよね。そのつくりも良かったと思う。

敵である「おしごと大王」という名前はどういうことなのか疑問に思っていたけどお父さんのことだったんだよね。お父さんを「おしごと大王」って呼ぶのいいよね。どこの国でも仕事にかまけたお父さん像っていうのがあるんだよね。

これはどっちかというとこどもよりも、型にはまった生き方をがんばっているおやじ達が見る映画だよね?子供が見ても大人が見ても楽しめる映画になってるんだと思います。

そして最後にお父さんが息子を認めた後に「お前がここで遊ぶということは妹もここで遊ぶってことだ」というオチは良かったよね。お兄ちゃんからしたら言うことを聞いてくれない妹が自分の世界に入ってくるって世界の終わり並みに大変なことだし。すっごいおおげさな事を言うと、自分の自由を認めてもらうには他人の自由も認めなくてはいけないというジレンマの話かな。

ふぅ、感動したのはこんなところかな。他にも細かいナイスな演出がたくさんあって、どれも良かったです。

『ソフィーの世界』だったっけ「レゴで遊ぶと原子論を理解しやすい」って話があったよね。すべてのものはもっと小さいパーツ(原子)からなりたっていて、それらは分解したり結合したしする。最小のパーツ(原子)はそれ以上壊れることはない、という原子論のルールを直感で理解できるって話。思い出しただけですけど。

んー、最近のたいじんさん、ボイトレとダークソウルと映画の話ばっかりだけど仕事してるのかな?と疑問の読者諸賢!その通りです。泰人はいま仕事がなくて暇をしているんです。
その代わり、コマ撮りのwebサイトを作ろうと準備していますが。

と思ってたら7月から仕事が4つくらいかぶりそうで嫌なんですが。神様は何考えてるんだよ。