すべてのものづくりを仕事にする人におすすめしたい本 / 藤井亮『ネガティブクリエイティブ』『タローマン』など

こんにちは。最近読んだ本でとてもオススメなのを見つけたので書きます。

藤井亮さんの『ネガティブクリエイティブ』

藤井さんはとてもネガティブな人で「クリエイターってみんなポジティブに元気にものづくりしてるイメージあるけど、逆のネガティブな人も(ネガティブな人こそ)クリエイターに向いてるんじゃないですか?」的なことが書かれています!!

『ネガティブクリエイティブ つまらない人間こそおもしろいを生みだせる』Amazon

そもそも藤井亮監督って?

知らない人に藤井さんを紹介するとこんな映像をつくっている方。

『タローマン』

これは「1970年代に岡本太郎の作品をもとに特撮番組があったら」という設定の2022年に制作された作品です。NHKで深夜に放送されて人気がで展示やヒーローショーや続編みたいな特番もつくられました。古い映像にみせるために特撮技術も古いものだけでつくっているし、最後に映像をVHSにダビングして古い色や質感を出しているそう。これを本当に昔の作品だと思って藤井亮監督は今おじいちゃんなんだと思ってる友人がいました。それくらいリアル。

うちの息子もハマってて4歳なのに岡本太郎作品に詳しくなりました。

『日本建設工業』

こちらも60年代のアニメの雰囲気で制作された2019年の作品。

ラブリコのアジャスターも大好きです

藤井作品を漁ってると日が暮れちゃいますが。

僕は何年か前から藤井監督のことが気になってまして、特撮や人形劇もですが実写もアニメーションもされてて、すべての作品の熱量がすごい。なんだろ、キャンプファイアーを目の前にして顔が熱くなるみたいな感じで、画面から監督の熱を浴びるために作品を追いかけています。

そして本が出てすぐに買って案の定良かった!あと藤井監督はどういうスタンスで嘘の作品を作ってるんだろうって気になってたところもあって、そこが納得いく話も多かった。

読んでいくとただのネガティブな話ではなくて、真面目にいろんなことを思考してものづくりしているのがわかります。いろんな戦略を考えていらっしゃる。

ポジティブな人とネガティブな人

出だしのポジティブな人とネガティブな人の比較の話から面白い。
↓おもしろ映像をたくさん作ってるけど本人はネガティブなんですよ、と。

↓でもネガティブな人こそクリエイティブに向いているでしょう!と。

僕の考えですけど、ポジティブな人は声が大きくてセミナーやったり本もよく出版されるけど、ポジティブ戦略が全ての人に通じるわけではないんですよ(自分には無理だっていう自己啓発本もたくさん読んできた)。逆にネガティブな人だけに通じる戦略がある。だからこの本の戦略もやれる人とやれない人がいると思う、当たり前だけど。なんですが藤井さんの考える戦略は僕もすごく共感するものが多かったです。

全ページを紹介したくなるけど、ちょっと抜粋して。

さみしくても、誰も登っていない山に一人で登る。

流行や最新のコンテンツをインプットしましょう、と言われがちだけど

↓引用

みんなが大挙して夢中で登っている山の最後尾に今から並んで登るよりも、まだ他の人が登っていない山を登るほうが、新鮮でおもしろい景色が見えるかもしれません。

僕も似たような気持ちでコマ撮りを始めました。当時(2005年ごろ?)3DCG作品で学生が作ったすごい映像がどんどん出てきて注目を集めてて、その土俵で戦うの無理だなーって思って、競技人口の少なそうなコマ撮りをはじめたのです(他にも理由あるけど)。そしてコマ撮りの中でも人形アニメという王道ではない作品をよく作ってきましたね。

人が登ってない山を登ったところでどれくらいの成功ができるのかはなんの保証もないですが(成功の定義もいろいろだし)。そもそも登ったところでダメな山というのもある。ダメだから誰も登らないっていう山。そこは気をつけて、他人が登ってないという理由だけじゃなくて自分が登りたいと思える山を選ぶべきだと思う。

他にも面白かったところとオマケ

ネガティブな感情を呼び起こすところにこそ、創作の種が落ちているものです。

アイデアに煮詰まったら」「いちばんつまらない案」を考える。

とかとか、世の中で言われがちなクリエイティブ論を否定はしないけど「そうじゃないやり方もあるよ」と、本人の体験談も交えてて全てのアドバイスが具体的で実践的って感じがします。生半可なクリエイティブ論は書かれてない。

藤井監督は戦略をいろいろと考えられててやはり真面目な人なんだなって思いました。本書の中でも書かれてますがこの著者近影↓

「ウンコ帽子をかぶることでおもしろい発注だけくるようにしてる。自分に発注する人をふるいにかけてる」って戦略なんですが、僕はこの写真をみて思ったのはウンコ帽子してるのに笑ったりしてないで真顔なので「きっと大真面目に映像作ってるんだろうな」って前から思ってたのです。その通りでした。理論だって書かれててとてもわかりやすい本です。

あとビックリしたのが、藤井監督が大学生のときにハマった映像作品がノーマン・マクラーレンヤン・シュヴァンクマイエルだったこと。影響の受け方は違うんですが、この2人は僕がコマ撮りをはじめたきっかけの人だったので。

というわけで共感が多かったのもありますが、創作する人には「こんな考え方あるよ」って全員におすすめしたいし、創作をしない人も読んだら「ネガティブって悪いことだけじゃないな」って思えます。オススメです。

記事のURLをコピーする